コマツのキャッシュフロー分析

今回のキャッシュフロー分析はコマツです。建設機械メーカーの有力企業であり、VOCからヒントを得て、ITを建機に取り込んだことで大きく業績を伸ばしたことで有名です。近年は中国経済の失速を受け、株価は下落傾向にあります。

 

まずは、キャッシュフロー計算書をまとめたものを下表に示します。この企業もHP上に過年度の決算短信をあまり保存しておらず、2010年3月期以降のものしかありませんでした。

 

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営業CFから投資CFを引いた正味の稼ぎは、2012年3月期にマイナスがありますが、これは東日本大震災の影響、民主党政権下の円高によるものと見られ、ここは見逃してもよいかと思います。その他の年は現金を確実に稼げており問題ないと思います。

 

この企業のキャッシュフローで特殊なのは、正味の稼ぎとほぼ同額の財務CFを、毎年計上している点ですね。営業CF以上の投資CFを出さないまでは多くの企業が心がけていることですが、財務CFは年によってばらつくことが多いです。理由は、株主への配当を一定に保つ必要があったり、株価によって自己株の償却を判断する必要があったり、長期借入金の返済期限によるためです。コマツキャッシュフロー計算書を見ると、赤字の2012年3月期を含め、6年間も同じ傾向なので狙ったものなのでしょう。キャッシュフロー計算書の内訳をみると借入金の入れ替えや、自己株の償却や、配当の支払いなど、ちょっと複雑な調整になっています。財務CFを含めキャッシュフローを意識しているという点は他企業よりも意識が高いと言えそうです。

 

次に営業CFから投資CFを引いた正味の稼ぎを2010年3月期から累積したグラフを下図に示します。

 

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6年間で5000億円の現金を生み出しており、コマツの年間の売り上げが2兆円、営業利益が2000億円、純利益が1500億円程度ということから、妥当な線かと考えられます。データが6年分しかないので、あまり自信は持てないのが懸念点ですね。こういう企業は多いのですが、過年度の決算はその企業の経営姿勢をよく反映しており非常に参考になります。ぜひ公開してほしいものです。