アイシン精機のキャッシュフロー分析

 

キャッシュフロー分析の第三回目はアイシン精機。この企業の株は今年の夏に取得した。まずはキャッシュフローをまとめたものを下表に示す。単位は100万円である。

 
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三菱商事のIRと同様、営業CFから投資CFを引いた正味の稼ぎは年度ごとにプラスに行ったり、マイナスに行ったり大きく振れているのが分かる。これは心配だ。次に正味の稼ぎを2004年3月を基準に累積したものを下図に示す。
 
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三菱商事よりは悪くは無いが、2011年以降の増加額がかなり少ない。2004年と2011年で大きく増加しており、これら二つの年だけでCFの傾向を決定づけている点も問題だ。これは7年にも渡って投資が現金として回収できていないということだ。
 
また、キャッシュフローのまとめた表に戻って、2004年と2011年で何故増加しているかも見ると、これらの年だけが投資CFがプラスになっているからだとわかる。2011年の決算短信を読んでみると、投資CFの増加は定期預金と有価証券の減少によるものとの説明がある。つまり、長期資産の取り崩しである。(2004年は決算短信が残っていないので原因はわからない。)
 
これは少なくとも2005年以降は営業で現金を稼いでいないことを示している…。営業利益の水準は高いので、稼いだ金が現金ではなく、土地や設備や証券などの現金でない資産に化けているということだ。それらの評価額は客観的に計算されたものなのか? 将来、大きく減損されることはないか? そうなった場合にアイシン精機の財務は壊滅的なダメージを受ける。
 
また、キャッシュフロー表でもう1つ、気になるのは、財務CFがプラスの年が少なくないことだ。プラスの年はつまり、借金が大幅に増加した年である。ここからも、本業で稼ぐ以上の投資を行わざるをえない台所事情が見えてくる。
 
自動車部品の同業他社でアイシン精機と同規模のデンソーキャッシュフローも見て比較してみよう。下表がデンソーキャッシュフローのまとめである。
 
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次に営業CFから投資CFを引いた正味の稼ぎを、2001年を基準に累積したグラフを示す。
 
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デンソーアイシン精機とは対照的に美しい増加傾向にあることが分かる。経営は非常に順調だ。このことから、アイシン精機のCFは業界固有の事情ではなく、経営力に問題があるということが分かる。うーん、これはよくない。