なぜ総合商社は投資過多なのか?

商社のキャッシュフロー計算書

ここ数年、総合商社のキャッシュフローは投資過多だと感じている人は多いと思います。下の表が三菱商事キャッシュフロー計算書から抜き取ってきた数字です(単位は100万円)。

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見て分かる通り、2006年ごろから1000億円規模の投資を毎年行っています。財務キャッシュフローも2007年以降(2008年を除いて)、大幅に借越しとなっています。特に2011~2012は営業キャッシュフローと同じくらいのキャッシュを財務で調達しています。

CFだけを見れば、三菱商事は非常に厳しい競争環境に置かれ、長期債務の借り換えを繰り返す自転車操業に陥っているのでは?と不安になります。もちろん、このトレンドが続けば、債務は雪だるま式に増えていきますし、経営は不安定になります。

 

自己資本比率と合わせて見る

しかし、債務超過を図る指標である自己資本比率を合わせて見てみましょう。

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2006年以前、三菱商事は非常に自己資本比率の低い会社でした。2002年時点の13%という数字は、危険の一歩手前くらいのレベルです。なので、事業投資よりも財務健全性を回復することを優先し、投資は100億規模で推移したものと推測されます。結果として、2002~2006年までの間に自己資本比率が大幅に回復しています。

一方、2006年時点、自己資本比率が20%を超えたあたりで経営陣は、十分に自己資本比率は回復したとみなしたのでしょう。自己資本比率が痛まない範囲で投資を熱心に行うようになっているものと思われます。

つまり、最近の過剰気味な投資は、市況に仕方なく従っているというものではなく、長期的な経営戦略に乗っ取ったものと考えられます。

 

でも油断はできない

2011,2012年のキャッシュフロー自己資本比率をもう一度よく見てみましょう。投資が異常に大きく長期借入を大幅に増やしたのにも関わらず、自己資本がまったく悪化していません。これは、為替と株価上昇の恩恵によって資本価値が上がり、長期借入金の増加を相殺しているものと考えられます。つまり、為替と株価が悪化すると自己資本比率は大幅に悪化し得ます。

財務キャッシュフローを10年でトータルすると、2012時点で4000億円ほど借り入れ超過になっているので、私としては、そろそろ投資キャッシュフローを抑制しても良いのでは?と思っています。